カイラムの買い物
薬材店ポクン・ポーラー
「えーと、紅尼草の先っちょと、それから……セグロアオトカゲの雌の右目?」
まだ年端も行かぬ少年であるカイラム・カムランは、メモを片手に薬材店ポクン・ポーラーの店内を物色していた。
七つの黒真珠を持つ美貌の女薬法師紅《くれない》、ただ一人の弟子である彼は、紅に頼まれ、薬剤の買い出しに来ていた。
しかし、最後の一品は、彼も初めて聞く名で、店内の棚から見つけられなかった。
「うーん、ここに無いとなると、禁薬か封薬なのかな?」
カイラムは、独り言を言って決断した。
余り気乗りしないが、この店の女主人に尋ねることにした。
「あのー」
「なんだい?ぼうや」
「!」
店のカウンターにいるものと思っていた女主人の声が、背後から聞こえてきた。
さらに背後から両手が回され、甘い香りと共に、きゅっと抱きしめてきた。
背に当たる熱く柔らかい胸の感触よりも、右耳に頬ずりされた生温さに、身体が硬直する。
まだ年端も行かぬ少年であるカイラム・カムランは、メモを片手に薬材店ポクン・ポーラーの店内を物色していた。
七つの黒真珠を持つ美貌の女薬法師紅《くれない》、ただ一人の弟子である彼は、紅に頼まれ、薬剤の買い出しに来ていた。
しかし、最後の一品は、彼も初めて聞く名で、店内の棚から見つけられなかった。
「うーん、ここに無いとなると、禁薬か封薬なのかな?」
カイラムは、独り言を言って決断した。
余り気乗りしないが、この店の女主人に尋ねることにした。
「あのー」
「なんだい?ぼうや」
「!」
店のカウンターにいるものと思っていた女主人の声が、背後から聞こえてきた。
さらに背後から両手が回され、甘い香りと共に、きゅっと抱きしめてきた。
背に当たる熱く柔らかい胸の感触よりも、右耳に頬ずりされた生温さに、身体が硬直する。