カイラムの買い物
「そうさ、呪紋技術の応用で造った義体を魔導移植するんだよ。
ちゃんと神経も通って、本物と変わらないそうだよ」

「無茶苦茶怪しいじゃありませんか。
それにどー考えても軍事技術の流用ですよ、それ。
西戎の兵士って大概、呪紋強化されてますからね」

「よくまぁ変なこと知ってる子だね」

「まぁ、実家が貿易商なんで、いろんな情報が入って来るんですよ」

「どうゆう貿易商なんだか。
で、何か用だったんじゃないのかい」

「あっ、そうでした。えーと、セグロアオトカゲの雌の右目ってありますか?」

「ありますかって事はないだろう。
ここをどこだと思ってるんだい。
薬剤都市バクー一の薬剤店ポクン・ポーラーだよ。
ありますかじゃないだろう、ありますかじゃ」

「えーと……どこですか?」

「あんたの目の前」

「?」

「うーん、判ってないね、まだまだ修行が足りんよ」

 そう言って女主人はカイラムの顎に手を掛けた。

「な、なんです……」

「こいつだよ」

 女主人は、豊かな胸の上を飾る、真珠のネックレスを見せた。

 大人の指先ほどの粒が並んでいた。
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