鬼の名の下
男は胸元を押さえながら血を吐き倒れた。



暫くすると、唸り声も聞こえなくなりパタリと動かなくなった。



「な・・んだ・・・?」



男の胸元には鋭いクナイが刺さっていた。




ギシッ


男2人に近づこうと歩み寄れば畳が鳴った。


「ハッ だ、誰だ!」


額を怪我していた男が素早く立ち上がり刀をこちらに向けた。


額の血が目に入ってうまく目を開けられていないようだった。


それでも戦う・・か・・・。


その戦意は、守るものがあるからこそのものか・・・?


残念ならが僕には守るものなんて一つも無いから、戦う理由も無い。


チラリとその男に視線を向けただけで、僕は倒れている男の胸からクナイを抜き取る。



そして、付いていた血を振り払うようにして落とし腰袋に戻した。


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