鬼の名の下
そして、フラリと体をその男に向けた。



「な、何だお前・・・?」



『座れ』


「・・は?」



『早く』


「え、あ・・?」


座ろうとしない男にいらだって手を引っ張って無理やり座らせる。


そして、スクールバックではないが白羅が変えてくれた鞄からタオルを取り出して男の額に当てる。


傷は然程深くないから抑えていれば止まるだろう。


『抑えて』


「お、おぉ・・」


かなり困惑した顔をしながらも、素直に従う男。


いや、僕と然程歳が変わらない気がする。


まだ幼さを残した綺麗な顔。


傷つくって・・もったいない。


なんて思いながら、ガーゼやテープを使って傷をふさぐ。


未来のものを使っていいか若干迷うが、まぁ気にしないで置こう。


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