鬼の名の下
『さて、そろそろお出ましだよ』



その言葉と共に、サァッと襖に影が出来た。




僕はスクッと立ち上がって襖を開ける。


その足元には何時解いたのか、縄が落ちていた。



「佐伯はどこだ!」


襖を閉めた瞬間首に当てられた刀。



それを手のひらで握って首から離す。


手のひらからはポタリと血が落ちた。


『我は新撰組に潜入していた間者だ。佐伯は東の山だ。我も行く。先に行っていろ』


「何と!そうであったか!?」

「これまでバレなかったとは心強い!」


『新撰組にバレないためにも少し時間をずらす。早く行け』


「「相分かった」」


そこに居た2人はサァッときたときと同じように消えていった。


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