CHIME
―――いつのまにか、雨が降っていた。


激しく、強い雨。


透は走り続け、早足になり、歩き出した。


 強い雨が更に強くなり、透に降り注ぐ。


 濡れたまま大通りを歩いていた。


「…おい!」


突然かけられた声に透はゆっくりと顔を上げる。


 虚ろな目に、声をかけた本人、泉は一瞬ぎくりとした。


「…どうしたんだ?」


瞬時に異常を感じ取り、泉は驚き慌てて透の手を掴む。


 抵抗しようとする事なく、透は泉に腕を掴まれたままがくんっと倒れ込んだ。


 泉の声が遠くなる中、透は一筋だけ涙を流した。
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