CHIME
次の日、再び透は呼び出された。


「昨日の事件は知ってんな」


ニヤニヤと笑いながらその言葉。少なくともその笑顔は友好的なものではない。


「やっぱり後藤は先輩達が殺ったんですか?」


透の目はあくまでも静かである。
「さあなあ」


高褄達の見下した目はそれを肯定したも同然だった。


「俺には何も出来ませんよ」


微笑みさえ浮かべた透の言葉に、目の前の3人は“勝った”と言わんばかりに更にニヤリと笑う。


「でも、呼び出しのお礼くらいはしていいですよね」


にこりと笑った龍の体がふわりと動いた。


次の瞬間には再び気絶する3人と、やりきれない表情の龍が佇んでいた。




こんな事をすれば殴られた方、先輩の親が出て来るのは当たり前である。


透と泉は翌日再び校長室に呼び出された。


「うちの息子が怪我して帰って来たんですよっ!どういう事ですかっ!!」


二人がドアに手をかけようとした瞬間、聞いた事のある男の声で怒鳴り声が聞こえた。


政治家の高褄議員、つまり先輩の父である。


「一体誰なんですかっ!?私の子供達をあんなにしたのはっ!!」


校長は困った顔でおろおろと開いたドアを見て、我が意を得たりと憎らしそうに指をさした。


「あっ!来ました!彼らです!彼らがお子様方を殴ったんですっ!!」


ゆっくりと、高褄議員が泉と透を振り返った。
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