CHIME
「それがどうしたっ!?そうだとしても私の力でもみ消せば済む事だっ!!」


一瞬校長の顔が引きつる。


「た…高褄先生?」


呟いた校長の方を見ることなく、高褄議員は悪魔的な笑みを浮かべた。


「そうだ、消してやる。息子の未来を潰そうとする奴は…」


透が呆れたように嘆息する。


「誰だよこんな奴政治屋にしたの」


その呟きに高褄議員は目の色を変え、近くの灰皿を振り上げた。



「瓦屋証券と越後物産の乗っ取り」


全員が驚いてはっと顔を上げた。


その先には口端を上げた泉が立っている。


「…田中証券からの賄賂。
ああそう言えば板橋議員の自殺もあなたのせいだそうですね。
後は、飯山産業から料亭で貰った1000万円、賄賂か何か知りませんが、そんな大金全く一体何に使ったんです?あとは…」


「な!」


高褄がワナワナと体を震えさせ、静かにゆっくりと泉を見た。


「大田製鉄の社長の自殺。当時ちょっとしたニュースになりましたね。
何しろ、愛娘が襲われて自殺した、なんて恰好のマスコミの餌食でしよう。
だけどその保険金受取人があなたの秘書になってるのはどう説明するんですか?
奥さんが亡くなっているとはいえ、太田社長のご母堂はご存命だったはずですし。
それにしても…襲わせた本人がここでのうのうと生きている事を太田社長が知ったら…」


がたん、と校長が青白い顔で座り込む。


「後は石塚氏の500坪。住んでいた人を無理矢理退去させ建てたのが、売春ビル。
何とまぁ、よくここまでやって捕まりませんね。
あぁそっか。警察抱き込んでるんですものね。
あとは」



「貴様、何者だ!?」


泉はふわりと笑みを浮かべた。
< 16 / 21 >

この作品をシェア

pagetop