CHIME
「え…」


一瞬の間が開く。


ためらったのだろう。透と後藤は幼稚園からの幼馴染みで、仲が良いのは誰もが知っていた。


「アイツ…今日の夕方誰かに呼び出されて、一時間くらい前にボコボコになって見つかって……今さっき、息引き取った」


「な…んだよ…それ」


受話器越しの透の小さい声が震えているのは山口にも分かった。


しゃくり上げながら山口は続ける。


「俺…今その病院来てっけど…頭めちゃくちゃで…何か後藤じゃねぇんじゃねぇかって…。でも血液検査もして…やっぱりアイツだった…て」


「何処だよ」


無言が支配した。


「その病院何処だよ」


「透。お前来ない方がいいよ」


遠慮がちの山口の声が、まるで聞こえなかったとでも言うように、透は声を上げた。


「病院何処かって聞いてんだよっっ!!」


「…東…松山」


町外れの小さな病院の名を山口は呟く。


それだけを聞くと、透は受話器を放り投げ捨てて走り出した。
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