執事と共にホワイトデーを。
「お嬢様のお母様が、お召しになっていたものを探したのですが、どうしても見つからなかったので……」

「他の、香りもするわね」

「はい。お嬢様にあわせて、調香したものでございます」

「どんな香りが混ざっているの?」

「キンモクセイをメインに、甘すぎないようにジャスミン……そして、紅茶です」


恵理夜のための、世界で一つだけの香りだ。


「……道理で、貴方を思い出す香りがするわけだわ」


恵理夜はいたずらっぽく笑った。
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