執事と共にホワイトデーを。
「つけるのは、血の良く通う場所……例えば、手首などでしょうか」

「他の場所には?」

「そうですね。お嬢様は髪が長いので、手のひらに振りかけて内側からかき上げると丁度良い濃さになると思いますよ」

「つけて」

「……貴女が、望むなら」


春樹は、軽く香水を振りかけた手で、恵理夜の正面から、その髪をかき上げた。

甘やかだけれど、ただ甘いだけでない香りがふわりと舞う。


そして――
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