執事と共にホワイトデーを。
春樹はさっと顔を上げた。


「私に力を与えてくれる、貴女だけの香りだ」


間近で見る切れ長の瞳は、恵理夜だけを捕らえている。

恵理夜は、赤くなった頬を隠すためか顔を逸らした。

春樹の瞳に、柔らかな色が滲む。


「無礼な真似を致しました」


春樹は、肘の力を取り戻し、しっかりと身を起こした。
< 122 / 125 >

この作品をシェア

pagetop