執事と共にホワイトデーを。
恵理夜の、不安によって刻まれた眉間のしわが消えてなくなった。


「上の階で見つけて、慌てて走ってきちゃった」

「もう、走ったりして大丈夫なの」

「うん。だって今日、退院するんだ」

「本当に?おめでとう」


恵理夜は、そう言いながら手にした花を渡した。

それが、一番正しい宛先だと確信していた。


「わあ、ありがとう」


タクミは、満面の笑みでその花を受け取った。
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