執事と共にホワイトデーを。
「お姉ちゃんが来ると、春が来るね」

「春?」

「溶け残っていた雪も、昨日で全部溶けたんだ。それに、急に暖かくなったしね」

「そうだね。タクミくんが良くなって良かったわ」

「春樹兄ちゃんは、元気?」

「…………」


恵理夜は、何も言えずに目線を泳がせた。

タクミに会った瞬間に吹き飛んだ不安が、再び襲ってきたのだ。
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