執事と共にホワイトデーを。
「残念ながら、もう空なのよ」

「……零してしまいましたか」

「よくわかったわね、春樹」


春樹――そう呼ばれた青年は、ため息をついた。

整えられた黒い髪に、端正な顔。

切れ長の目は、感情豊かとは言えないが、彼の真面目さを現していた。

黒いスーツをきちんと着こなすその姿は、まさしく執事と呼ぶにふさわしかった。
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