執事と共にホワイトデーを。
「お怪我はございませんか?」


春樹は、恵理夜の手から小瓶を取り上げ、代わりにハンカチを握らせた。

その手からはむせ返るようなキンモクセイの甘い匂いのする液体が滴っていた。


「瓶が割れたわけじゃないわ。開けたらキャップごと外れてしまったの」

「随分と、古い香水のようですね」


ラベルは劣化し、変色していた。

同じようにキャップも劣化し、外れやすくなっていたのだろう。
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