よゐしこのゆめ。


鞄を持ってからフジにそう言う。



「また明日も来いよ」


「え?明日も?」


「どうせ暇だろ?春休み、で」


「そうだけど。一応、わたしも勉強みたいにやらなきゃいけないことあるんだけど」



そう言って少し膨れると、フジは大きく笑った。



「机と椅子ならここにもあるし、良いだろ?言ったじゃん。俺、歩巳がいないと暇なの!」


「はいはい」



わたしは、呆れて軽く溜息をついた。



じゃあ行くね、と軽く手を振ると、フジはさらに明るく笑って、手を振ってくれた。




とりとめのない話ばっかりだったけど、すごく気が紛れたから……


今は何だか、すっきりしてる。



問題は何も解決してないけど、まぁ……今は良いかな。



ありがとう、フジ……―――



謎だらけのあいつに、わたしは心の中でそう呟いた。
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