よゐしこのゆめ。
 


「買いすぎたかな?」



運ばれてきた水を飲むと麻奈が言った。


たっぷり買い物を楽しんだわたし達は、少し遅めの昼食を食べることにした。


入ったのは、麻奈がウチの親を見たケーキ屋さん。

実は、お店に入るのは初めてだ。


ただのケーキ屋さんだと思っていたその店には、イートインのスペースもあって
お昼だけはランチの営業もしているとのことだった。



「確かにね。でも、セールもあったし意外に安く済んでるんじゃない?」



わたしの手元にも、パステルカラーの袋が3つ。


セール品を狙った上に、元も高くないものばっかだから、お財布にも余裕はあった。



まぁ、だからこそ余計に気になるものがあって、困ってるんだけど……。



「それにしても、このお店お洒落だよねー」



麻奈の言葉に、わたしも周りを見る。


白っぽいレンガ調の壁に、濃いブラウンのフローリング。

それと同じような木目の床に、白いソファー。

大きな窓から見える普段の町の様子も、こうして見るとお洒落に感じるから不思議だ。


壁に飾られているいくつかの花の絵も、お店の雰囲気にすごく合っている気がした。



「ご注文はお決まりですか?」



ゆるいウエーブヘアの似合う店員さんが、わたし達のテーブルを覗き込んだ。

ふわふわしたピンクのロングスカートに、お店のロゴの入った赤いエプロンが可愛い。



「あ!あたしはこのパスタのランチで。飲み物は……アイスティーをミルクで」


「かしこまりました。お連れ様は?」



そう聞かれて、わたしははっとした。



「あ、えーっと……」
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