よゐしこのゆめ。
さっきのは、夢だったのかな……――――
小さい頃の、あの記憶は
あまりにも衝撃的すぎて、当時、無性に悲しかったことをよく覚えてる。
せっかく、何気ない、いつもの明るい日常のおかげで忘れかけてたのに……。
さっきの夢のおかげで、それも台無し。
だってあれは
ママに、パパ以外の“すきな人”がいる証拠。
パパと結婚しながらも
ラブレターを隠し持つくらい忘れられない人がいる証拠。
そう思ったら、何だか憂鬱だ。
「はぁぁ……」
1回、深く息を吐く。
わたしは、1年ですっかりくたくたになった紺色の鞄と一緒に部屋を出た。