よゐしこのゆめ。
「フジー!いるんでしょ?」
次の日、わたしは朝からフジを訪ねた。
初めはフジのことを劇団員だとか、怪しい組の人だとか疑ってたわたし。
でも、今はそうも思わない。
「歩巳……おはよう」
「おはよう!」
それは、今までに言ったどの『おはよう』よりも明るかったかもしれない。
そう思うくらい、心の底から笑って、フジに向き合えた。
「約束、守ってくれたんだな」
そう言うと、フジはふわっと下りてきた。
初めて会った日と同じ。
わたしの隣に、すっと着地する。
太陽の下で見るフジの髪は、困ったくらいに眩しい。
でもそれは、フジの甘い笑顔にすごく似合っていて……
わたしの胸は、微かに跳ねた。
「今日はジャケット着てないんだ?」
「あぁ、少し春らしさを追求してみた。いかがですか?」
「とってもお似合いですよ?」
そう言いながら見つめると、フジは頬を上げて、わたしの頭に手を乗せた。
「頑張った歩巳に、プレゼントやるよ。目、閉じて?」
「え?」
目閉じるってどういうこと?
そういう……こと?
どきどきするのを悟られないように、わたしは思いっきり目を閉じた。
「よし」