よゐしこのゆめ。
Ⅱ,真白な遭遇。
「おはよー」
「おはよう!」
教室へ入ると、そんな声でいっぱいだった。
笑顔と一緒に、その一つ一つに挨拶を返す。
終業式だからかな……?
みんなの声はいつもよりも明るくて
何だか弾んでいるように聞こえた。
「あゆ!おっはよー」
後ろからぽんっと肩を叩かれて振り向くと、麻奈がにこにこしながら立っていた。
ほんのりとした茶色に染まったボブが、朝日に照らされて眩しい。
入学当時はあまり話さなかったわたし達だけど、席が隣になったことで自然に仲良くなった。
「おはよう。相変わらず元気だねー」
「元気じゃない方がおかしいでしょ。やっと学校も終わるんだもん!長くて死にそうだったよー」
「はいはい」
大袈裟に溜息をつく麻奈に、わたしは苦笑いを返した。
天真爛漫って言うの?
この雰囲気が、麻奈の魅力なんだけどね。
机の横のフックに、鞄を引っ掛ける。
授業もない今日は、荷物も少なかった。
「おはよう。ホームルーム始めるぞー」