よゐしこのゆめ。
Ⅱ,真白な遭遇。
 


「おはよー」


「おはよう!」



教室へ入ると、そんな声でいっぱいだった。


笑顔と一緒に、その一つ一つに挨拶を返す。



終業式だからかな……?



みんなの声はいつもよりも明るくて

何だか弾んでいるように聞こえた。



「あゆ!おっはよー」



後ろからぽんっと肩を叩かれて振り向くと、麻奈がにこにこしながら立っていた。


ほんのりとした茶色に染まったボブが、朝日に照らされて眩しい。



入学当時はあまり話さなかったわたし達だけど、席が隣になったことで自然に仲良くなった。



「おはよう。相変わらず元気だねー」


「元気じゃない方がおかしいでしょ。やっと学校も終わるんだもん!長くて死にそうだったよー」


「はいはい」



大袈裟に溜息をつく麻奈に、わたしは苦笑いを返した。



天真爛漫って言うの?


この雰囲気が、麻奈の魅力なんだけどね。



机の横のフックに、鞄を引っ掛ける。

授業もない今日は、荷物も少なかった。



「おはよう。ホームルーム始めるぞー」
< 5 / 50 >

この作品をシェア

pagetop