AL†CE!


「功」



功は、佐柚をそっと離した。

「大地…」



大地が、立っていた。

功と同じように汚れた練習着で、呆然としている。


「なんで来たの?」

功の問いかけに、
大地は顔をひきつらせた。

「功おせぇから、どうしたかと思ってさ」


佐柚があきらかに困惑している。


「そういうことかよ…」

大地はずかずかと2人に近づいた。

「けむたいのは俺だけか」

功の後ろで佐柚が縮こまる。

功が大地の肩を掴んだ。

「ちがうって、大地あのな、ちゃんと有末の話…」

バッ

功が言い終えないうちに、
大地は肩に置かれた功の手を振り払った。



「練習ばっくれて女かよ。しかも有末?ふざけんなよ」

「大地!」

功のうしろから佐柚が前に出た。

大地は佐柚を無視だ。

「お前がそんなんだからなぁ、自分の女に元彼の車乗られんだよ!」


佐柚が、
え…と声をもらすのと

功の拳が大地の顔面に飛ぶのは

同時だった。



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