AL†CE!
見知らぬ車_
条件反射で絢華は後ずさった。
「よぉ、絢華。久しぶり」
運転席の窓が開き、サングラスの男が手を振りながら現れた。
「なに、俺のこと忘れたの?」
男はけらけらと笑いながら、
サングラスをはずした。
「恭ちゃん!」
黒髪が揺れ、髭の生えた精悍な顔が現れた。
「久々の元彼はどお?いかすでしょ」
くったくのない笑顔で男は笑う。
絢華は時計に目をやった。
「何言ってんの、あたし急いでるの」
「なんだよ、冷たいなぁ。どこ行くんだ、乗せようか?」
「国立に行きたいんだけど…」
「なんだよまじか!俺も国立に行くんだ。乗ってきなよほら」
男は助手席に親指を向けた。
絢華は少しとまどったが、
「助かる!ありがとう」
そう言って車に乗り込んだ。