AL†CE!
折れた羽
「佐藤くんっ!」
功が待合室に着くと、
泣いてぐちゃぐちゃな顔のまま唯が飛びついてきた。
「絢華は…っ」
息を切らしながら功が聞いた。
「絢華も恭さんもまだなの…」
「恭さん?」
功は、しがみついたまま泣きじゃくる唯の両肩に手をおく。
「試合は大丈夫なの?」
功の問いに唯が答える前に、絢華の母親がやってきた。
「あ…どうも…あ、大丈夫です、今は絢華の方が」
息をきらす功を見て、
絢華の母親は微笑んだ。
目が赤かった。
やつれたようにも見える。
みんな、絢華のことが心配でたまらないのだろう。
功はゆっくり唯を引き離して、
背もたれのない茶色いカバーの椅子に座らせた。