AL†CE!
功は
"古賀絢華"
と手書きされた病室の引き戸をゆっくり引いた。
戸は昨日と同じ音をたてて
ゆっくり開いていく。
絢華は功に気がついて、
酸素マスクをはずした。
「つけとけよ」
「くもって、やなかんじだから」
そうか、と功がつぶやいたあと
2人の視線がぶつかった。
今度はどちらも目をそらさない。
「絢華が死んだら俺も死のうと思った」
背もたれのない丸イスに腰かけながら功が言った。
絢華は上半身を起こす。
功はその背中を少し支えてやり、
いつもの子犬の笑顔を見せた。
「俺が絢華のお荷物半分もつから」