AL†CE!
男の子があたしの腕を放して、
今度は掌をあたしに差し出した。
また、涙があふれてきた。
男の子は必死だった。
あたしは差し出された掌に、
そっと自分の手をのせる。
温かい掌だった。
男の子はあたしの手を強く握って、それから放した。
そしてまだ2時間目くらいなのに、
こう言った。
「帰ろう。送る」
思わず笑顔になれた。
涙は止まらないけど、
笑う。
この人のために、
もうちょっとここにいてみよっかな。
さいあくだ。
宗介、
やっぱりしばらく会えないよ。
空に向かって微笑む。
宗介も、笑った気がした。