AL†CE!
「俺あんなイカちぃおっさんと闘う勇気ない!」
「いざとなったらしょうがなくね?」
大地と功は走った。
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改札の前で、とうとう男たちが少女に追いついた。
先頭の男が、少女の肩に手をのせる。
少女は立ち止まり、
そして瞬時に体を翻して、右の拳で男の左頬を殴った。
「きゃああああ!」
周囲にいた女性たちから悲鳴があがる。
歩いていた人々が、少女と男たちを取り囲むようにして割れた。
鈍い音とともに大柄な男が華奢な少女に殴られ、尻餅をつく。
「…てンめ!」
もう1人の男が、少女の胸上あたりを殴った。
「…っくはっ!」
少女は、丸くできつつある人だかりに倒れこむ。
少女はフラフラと立ち上がり体制をたてなおすと、
乱暴につばを吐き、再び男たちに殴りかかった。
バタバタと男たちが倒される。
男たちも、女だからといって手加減をしているようには見えなかった。
「え…何?」
「あの女やば!」
「絶対有末さんじゃないだろ」
大地と功は、人だかりの外側から、成り行きを見守るしかなかった。