AL†CE!
ピーーーッ
ホイッスルの音がした。
「何やっているんだお前たち!止まりなさい!」
駅長室の窓口に、制服を着た女子高生2人が立っていた。
彼女等が駅員に声をかけたのだろう。
その音と声を確認すると、少女は驚くような早さで人だかりに飛び込み、姿を消した。
「あっ、待てコラ!」
男たちは少女の後を追おうとしたが、諦めて駅員に向き直った。
「悪いな、毎度毎度」
「なんだまたお前らか」
驚くことに、男たちは駅員と会話をしはじめた。
よくあること…なのだろうか。
「最近は落ち着いてたんだが」
「よそでやってくれと言っただろ」
「すまない」
「あの子まだ足りないのか」
「本人は頑張ってる。しょうがないことだ」
大地と功には、解散しはじめた人々のざわめきや電車の発信音などで男たちの会話は聞こえなかった。
あっというまに辺りは普通の駅の光景を取り戻した。
大地と功だけが立ち止まったまま取り残されている。
「…女の方つよかったな」
「仲裁に入ろうとか言ってた俺ら、バカみたいだな」
夜空の下、
ネオンがうるさい都会の駅での、
おかしな出会いだった。