AL†CE!
大地は固まった。
「え、何で」
「世界で2番目に殺したい奴が会いに来るから」
佐柚の顔から屈託のない綺麗な笑顔は消えない。
とんでもないことを口にしているというのに。
「誰!?やだよこわいよ、俺、会いたくない」
大地はかわいい声を出してみる。
佐柚は顔をしかめた。
「さくらの彼氏」
「…さくら?」
佐柚が、あ…と一瞬とまどった表情になった。
大地はそれを見逃さなかった。
「姉」
「へぇ、有末、姉ちゃんいんだ」
佐柚にきょうだいがいることを、大地は初めて知った。
「いいから!じゃあ授業おわったら昇降口!じゃ」
それだけ一気に言うと、佐柚はあっという間に階段を駆け上がっていった。
「あっおい、有末!」
取り残された大地はまた、深いため息をつく。
佐柚の謎は、増えるばかりだった。