AL†CE!
「だーいちっ!」
突然、大声と共にうしろから背中を押され、大地は前につんのめった。
「由梨子!何だよ」
穴川由梨子_
3-Aのお調子者だ。2年に上がったころくらいから、何かと大地に絡んでくるようになった。
「今の子彼女?めっちゃ美人じゃん!あの子さぁ2年の子でしょ?モテるよー!学年のアイドルだって!3年にも狙ってるひといっぱいいるじゃぁん!」
茶髪で、綺麗に巻かれたショートカットが、由梨子の身ぶりに合わせてぴょんぴょんしている。
「あんな凶暴女こわくて付き合ってらんねぇよ」
由梨子が首を傾げる。
「凶暴なの?」
「あ~いや、こっちの話。ってか彼女じゃないからね」
「ちがうのー!?じゃあ何であんなすごい子大地の知り合いなの?」
カンに障る言い方をする奴だなぁと思いながら、大地は舌を出した。
「もしかしてナンパぁ?」
「ちっげーよ。偶然会ったの、駅で。それだけ!」
しっしっ、と手をひらひらさせて大地は教室に入った。
由梨子は頬をふくらませ、
佐柚の消えた階段に踵を返して、立ち去った。