AL†CE!

「だーいちっ!」

突然、大声と共にうしろから背中を押され、大地は前につんのめった。

「由梨子!何だよ」

穴川由梨子_
3-Aのお調子者だ。2年に上がったころくらいから、何かと大地に絡んでくるようになった。

「今の子彼女?めっちゃ美人じゃん!あの子さぁ2年の子でしょ?モテるよー!学年のアイドルだって!3年にも狙ってるひといっぱいいるじゃぁん!」

茶髪で、綺麗に巻かれたショートカットが、由梨子の身ぶりに合わせてぴょんぴょんしている。

「あんな凶暴女こわくて付き合ってらんねぇよ」

由梨子が首を傾げる。
「凶暴なの?」

「あ~いや、こっちの話。ってか彼女じゃないからね」

「ちがうのー!?じゃあ何であんなすごい子大地の知り合いなの?」

カンに障る言い方をする奴だなぁと思いながら、大地は舌を出した。

「もしかしてナンパぁ?」
「ちっげーよ。偶然会ったの、駅で。それだけ!」

しっしっ、と手をひらひらさせて大地は教室に入った。

由梨子は頬をふくらませ、
佐柚の消えた階段に踵を返して、立ち去った。
< 32 / 159 >

この作品をシェア

pagetop