AL†CE!
「客じゃない、ストーカーだよ」
サラッと言ってのけた佐柚の横顔は、険しかった。
大地は息をのんだ。
これから一体、どんな人に会わなくてはならないのだろうか…。
校門まで歩いていったとき、急に佐柚が立ち止まった。
大地は少し先に行ってしまってから、立ち止まって振り返る。
「有末?」
佐柚の目は、大地を見ていなかった。
大地の後方の、何かを見ていた。
それが何かを確認する前に、大地の背後から声がした。
「佐柚ちゃん!」
大地が振り向くと、背の高い、スーツ姿の男が笑顔で手を振っていた。
校門の脇には、白い外車がつけられている。
校門を通る女子生徒は、きゃあきゃあ騒いでいく。
きらびやかな雰囲気の男だった。
「…帰れ」
佐柚の顔からは、険しさ以外のすべてが消えた。
大地は佐柚が歩いてくるのを待って、後ろから佐柚についていった。
「久しぶりじゃん、元気だった?」
佐柚の機嫌が悪いのはわかっているだろうに、男は陽気だった。