AL†CE!
「あ…メールは知らね」
大地はそういえば、という風に言った。
「電話!?むしろ!?」
「まぁ…色々あんだよ!」
蓮に会うために彼氏のふりをした日、念のためと言って佐柚は大地に携帯の番号を聞いていた。
書くものがなかったので口頭で言ってみたのだが、佐柚はそれをしっかり覚えていたらしく、ホストをクビになったあの日、佐柚から着信があった。
「どんな子、どんな子!?」
次々に質問が飛び交う。
「サバサバしてるよ」
功が挙手してから発言した。
学ランの最後のボタンをとめ、大地はエナメルを担いで立ち上がる。
それを見て、先に着替え終わっていた功も、群がるチームメイトから抜け出した。
「じゃ、お先!」
スタスタ部室を出て行ってしまう大地の代わりに功が元気に挨拶して、2人は暑苦しい部室を出た。
何日か前よりも、空気はひんやりしているような気がする。
「機嫌悪い?」
功がうしろから、大地の頭をひっぱたいた。
「なんでだよ」
大地はひじで功をどつく。
大げさに痛がってから、おとなしく大地の横に並んで、功は言った。
「妬いてんの?」
もう一度、大地は功をどついた。