AL†CE!
Ⅱ.プリンセスの秘密
あれから1週間が経った。
あのあと有末佐柚が、大地と功の前に姿を見せたことはなかった。
津川駅で会うこともなく、大地は今までと何も変わることのない生活を送っていた。
20時の鐘がなった。
自主練も切り上げなければいけない時の知らせだ。
宮斗高校のサッカー部は強豪で、練習も厳しかった。
全体は18時の時点で切り上げだが、全ての生徒が残って自主練に励む。
その制度はもう何年も受け継がれてきた宮高サッカー部の方式で、200人近い部員のなかでも群をぬいた才能の持ち主である大地と功も、例外ではなかった。
「おつかれさまでした~!」
「今日雨ふるらしい」
「まじかよ~!傘ねぇぞ」
いつも通り、大地と功は学ランにエナメルを背負って歩いている。
宮斗高校から最寄り駅までは歩いて10分弱くらいだ。
校門をでようとしたときだった。
「2人ってサッカーうまいんですねぇ」
聞き覚えのある声だった。
2人が振り返ると、
そこに立っていたのは