AL†CE!

「アリスちゃんさ~」


佐柚の下で、男がにんまりとした笑みで言った。


佐柚からは、
マッサージ台の上で
うつぶせに寝ている男の顔は見えないが、
そのいやらしい声から男の表情は容易に想像できた。


「はい?」

「二十歳って嘘だよね?」

男のその問いに、佐柚は驚かなかった。

「若く見えますかぁ?」
手は止めずに明るく言う。


「なんとなくだよ」

そう言って男は、ゴツゴツした少し湿った手のひらで、

腰にまたがり背中のマッサージをしている佐柚の、細く白い脚をなでた。


クソジジィ

と心の中で吐き捨てて、佐柚は
ふふ、と“照れ笑い”をして見せた。


< 80 / 159 >

この作品をシェア

pagetop