ＡＬ†ＣＥ！

｢いいの｣


即答できた。


もう迷いはなかった。










…はずだった。




｢じゃあなんで、泣いてんのよ｣


佐柚は唇を一文字に閉じている。


しかし、
佐柚の瞳からは涙が静かに流れていた。



紗和は佐柚の背中に手をおいた。

優しくさする。


佐柚は、
泣くつもりはなかったので
紗和に指摘されて驚いた。


両手で頬を流れる涙をぬぐう。



｢大地さんも佐藤さんも、ちゃんと大事にしてくれると思うよ？｣


紗和が穏やかな口調で言った。

昔から、こんな紗和の優しさに
佐柚は何度も助けられてきた。

紗和の声は
心を落ち着かせるのには十分だった。



｢あたしも、そう思うんだ｣



佐柚の声が震える。