AL†CE!


「じゃあどうして?」


紗和の問いに、佐柚の目からは思わずまた涙があふれた。


のどが渇いてきた。
声をしぼりだす。


「大地と功さんはきっと、一緒に落ちてくれちゃうから」


紗和は何も言わない。


「あの2人は、あたしには荷が重い」


佐柚はもう、涙をぬぐわなかった。

紗和は佐柚を抱きしめる。


「それでも佐柚の大切な人でしょう」


紗和が諭すように言う。


「…大切だよ」



佐柚は紗和を抱きしめかえすこともせず、
ただ紗和の胸で、泣いた。



< 92 / 159 >

この作品をシェア

pagetop