震度x
『もしも』のことを考えたら、怖くなった。



もしも母の職場が古いから崩れたりしていたら?

もしもストーブが点いていて家が火事になっていたら?


それか家が潰れていたら……



そんなことを考えてみても、実感が湧かない。


今の状況も呑み込めていない私は、考えても想像できなかった。



だんだん寒くなってきて、1号館の教室からカーテンを取り、先生が廊下の窓から落としているのを目にした。


コートもない私達生徒にとって、それが唯一の防寒着だった。

3人くらいで丸まっている人達もいるし、地面に敷いて座っている人もいる。


でも私はそれをもらわなかった。


暖かそうだとは思ったけど、その時私は、家に帰ろうと思い始めたからだ。


幸い、私の家は学校から歩いて帰れる距離。

このまま学校に居ても寒いだけだし、今のうちに帰って、家の状況を見たかった。



だから私は、家は少し離れた所にあるけど向かう方向が同じ友達と、帰ることにした。



その時は4時の少し前。


すでに地震から2時間が経っていた。



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