震度x
さっきからずっと、ケータイをポケットから取り出し開いて画面を見て閉じてしまって、を繰り返していた。



傾斜が緩やかな坂を上がって、ふと左側を見た。


そこには、地震で橋の方が上がってしまったものがあった。

女性の警察官が立っていて、カラーコーンが置かれ、車は通れなくなっている。


ここを通っても家に帰れたけれど、落ちたらどうしようという不安があったので通らずにそのまま真っ直ぐ行った。



その左側の橋を過ぎると、今度は進む方向にのびる橋がすぐにある。

ここも繋ぎ目がずれ、車はそこを通る度に車体が上下に揺れていた。



そんな時、ケータイのバイブが鳴った。



ずっと返信が来なかった、母からのメールだ……!



すぐに開いてみると、無事だったようで、私はどうか、と書いてあった。


大丈夫だよ、と帰る途中であることも打ち、送った。



とにかく良かった、と思った。

生きていて、本当に良かった。


少しだけ安心することができた。



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