震度x
職場から母は一度家に帰り、歩いて避難所に来たらしい。


着いたよ、とメールが来た。


でも、どこにいるのかお互いに分からなかったから、私はホールを出て母を探した。


すると、暗い廊下に母を見つけた。



「大丈夫?帰ろう」



そんなことを言い合った。


私はおばあちゃんを呼びに行き、荷物を持ってホールを出た。

母と合流し、中学校を出た。

この時すでに7時半を過ぎていた。



そして三人で電気もない暗い夜道を家まで歩いた。


ふと空を見上げると、今まで見たこともない数の星が空一面に見えた。



「うわ、すごーい!綺麗!」



宇宙とか星とかが私は好きだから、すごく感動して思わず興奮した。


いつも見られないはずの細かい星達が、夜空にはっきりと見える。

電気がない世界っていいな、と思った。


電気が初めからなければ、こんなに不便さを感じることもなかっただろうに。


でも実際、現代に慣れている私達には、電気がなければだめなんだろうけど。



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