どんな君でも

男たちは、私に構わず用をたしてとっとと出ていく。


「あれー?今、雅也いなかったぁ?」


ドキッ。


彼の肩が揺れた。

どんどんと野村の声は近くなってくる。


「仕方ない。」


…え、今度は個室!?


2人で入って鍵を閉めた。


その直後に男子トイレの扉が開く。


「なんだぁ、いないじゃん。」


そう言って扉は閉まった。


「はぁ…」


ため息をつく彼を見てたら、ほんとに野村は面倒くさいやつなんだなと思った。


「え…」


――チュッ。


無性にしたくなった。

ここが男子トイレで、男子トイレの個室だってことも忘れていた。


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