年下王子は意地悪王子
ドアに手を伸ばす。
こくりと唾を飲み込み、ゆっくりと力を込めた。
すーっと静かに開くドア。
中から吹き出す風があたしの頬を掠め、ビクリと肩を揺らす。
一度手を止め、ゆっくりと深呼吸をする。
「頑張れ…大丈夫……」
小さくつぶやき、残りのドアを一気に開けた。
「…………ッ」
う…ぁ……
やっぱり暗いよぅ……
本独特の深い香りがあたしを包み込む。
「だっ、誰かいますかぁ…?」
びくびくと震えながら、中を覗き込む。
シン―…と静まり返っている空間に、ホッと一安心。
自分で聞いといて何だけど、返事なんてある訳ないよね。
もし、はーい。なんて返ってきたら……