年下王子は意地悪王子
「っダメダメ!」
ブンブンと勢いよく首を振る。
余計なことは考えちゃダメ…!
さっ、早く本を返して家に帰らなきゃ。
「―――っげ。颯ちゃん、こんな高いとこから取ったの?」
自然と顔が歪んでしまう。
身長の高い颯ちゃんなら、簡単に届くとは思うけど……
「む、無理だよ〜…」
あたし、身長低いのにぃ〜!
涙目になりながら辺りを見回し、踏み台に出来そうなものを探す。
「あっ!あった!」
ちょうどいい高さのはしごが…!
ととととっと軽やかな足どりで走り寄り、はしごに手をかけた瞬間。
.