年下王子は意地悪王子
「…ふーん」
あたしの平凡な答えがおもしろくなかったのか。
まるで彼の言葉には感情がこもっていなかった。
つかの間の沈黙のあと、彼が口を開く。
「…じゃあ聞くけど」
コツ…と踵を鳴らしながら近づいてくる彼。
「―――ッ…!?」
思いもしない彼の突然の行動に慌てて後ずさると、傍にあったはしごに腰がぶつかった。
「ひゃっ…」
小さく悲鳴を上げ、飛びのいたあたしの手が強い力で引っ張られた。
えっ―――?
訳もわからないままのあたしの鼻をくすぐったのは、柔らかく甘い匂い。
そしてドンと鈍い音と共に、背中に衝撃が。