年下王子は意地悪王子
だけど、それだからこそなのか。
今まで一度も見たこともないくらいに、彼の笑みは美しかった。
美しい。
色んな着飾った言葉もあるけど、ただそう思った。
綺麗じゃ、足りない。
妖艶じゃ、味気ない。
だけど、そのすべてを引っくるめているから、美しい。
何がそうさせているんだろう。
わかんない。
わからないけど―――。
「それとも―…」
―――俺に会いに来たのか?
そんな言葉が紡ぎ出されても、違和感なんてまるでない。
本当にそのためにここへ来たんじゃないかって思わせるほどに。
美しい彼はいとも簡単にあたしをさらった。