年下王子は意地悪王子

「…で。何泣いてんの？」




黙ったままのあたしのまぶたに自分のカーディガンを押し当てた彼が尋ねる。


…って、ちょっと痛いんだけど。


あたしを止めた割に優しく拭ってはくれなくて、むしろさっきよりも強く涙を拭かれる。




「黙ってたら分からないだろ」




ちょ、ほんとに痛い。


ぐりぐりと捩るかのように手を動かす彼に、あたしの中で何かが切れた。




「おい、早く言えよ」



「―――…ぃ」



「は？」




ぐいっと彼の腕を強く掴んで、顔から引きはがした。


驚く彼をよそに、薄く涙を滲ませた瞳で睨みつけた。





「〜〜っ痛いってば！」






あらん限りの声で叫べば、クールな王子様はキョトンと瞳をしばたたかせた。


あっ。


こんな顔も出来るんだ。