年下王子は意地悪王子





「…ひゃっ!」




そんなあたしの頭がぐりんと回り、視界いっぱいに彼の端正な顔が映し出された。


目を白黒とさせるあたしに彼は薄く笑い、顎にかけた指を這わせた。




「気に入った」



「…へ?」




何が?


そう聞こうとしたあたしの口を遮るように、彼の長い指が唇を押さえた。




「…明日、今日と同じ時間にここに来い」




低く、美しい声が鼓膜を震わせると同時に、あたしの意識をさらう。




「いいな?」




そう妖しく目を光らせる彼に、あたしの首は無意識に動いていた。


とろんとする意識の中で、彼の唇が、いい子だ。と動くのを見た。
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