年下王子は意地悪王子
窓の外を眺め、またひとつため息をこぼしたあたしの体に何かがのしかかってきた。
「そんなため息ばっかついてたら、幸せ逃げてくよ?」
耳元でからかうような弾んだ声に、むすっと唇を突き出す。
「あっ、またそんな顔する〜。ダメだって、可愛い顔が台なし」
「可愛いくなんてないもん」
「あら。無自覚さんって怖いね」
そう言ってころころと鈴を転がしたように透き通った声で笑うのは、私の親友の美波(ミナミ)。
性懲りもなくため息を落とすあたしから離れ、美波はあたしの目の前に回った。
少し釣り上がった双眼がじっとあたしを見据え、ぽってりと膨らんだ桃色の唇がゆっくりと動く。
「さっきから変よ?颯ちゃんがどうとかって言ってたけど…何かあったの?」
こてんと可愛らしく首を傾かせる美波。