年下王子は意地悪王子
こんな仕種も様になるんだから、ほんと美人っていいなぁ。
美波の言葉には返さずにそんなことを考えていたら、美波の腕が伸びてきて、むんずと頬をつままれた。
「み゙っ…!」
「なぁに変な顔してんの」
ぐいっと眉を寄せた美波の爪があたしの頬に食い込んで、うっすらと視界が潤む。
「はーなーいーてーっ!」
「きゃっ、可愛い!“はないて”だって」
キャッキャッと笑う美波を軽く睨みつける。
そんなあたしの視線に気づいたのか、パッと美波の指先が離れた。
「もう!痛いよ!」
「ごめんごめん。で、琴音。どうしたの?」
絶対謝る気ないよ…
また落ちそうになったため息を喉元で止め、机に突っ伏した。