年下王子は意地悪王子
―――行きたくない。
そうは思っていても、足を動かし続ければ必ずたどり着いてしまうわけで。
「―――来ちゃった…」
ある部屋のドアの前で立ちすくむ。
何の変哲もない、普通のドアなのに、先入観ってすごい。
ゴゴゴゴッ…みたいな音が今にも聞こえてきそうなくらい威圧感を感じる。
「やだなぁ…」
ぽつりとつぶやきを落とす。
今すぐにでも帰りたい焦燥感に駆られた。
だって、本当に怖いんだもん…
高校生にもなって幽霊が怖いなんて、情けないのは分かってる。
でも、怖いものは怖い。
それは仕方ないよね?
「ここ、一人で来たのかなぁ、颯ちゃん」
一人でこのドアの前に立つ颯ちゃんを想像してみる。