ダイヤモンド
「空いてるよ。」
私のワガママを彼は快く引き受けてくれる。
失恋したばかりの頃の彼につけこんだ汚い私。
それは、終わることなく続いている。
失恋した相手は知らない。
彼のバイト仲間に聞いたところによると、かなりの美人らしい。
彼と同じ大学の人なのかな…
わからないから、余計に不安になる。
「じゃあ、いつもの場所にいつもの時間に。」
「…了解。」
彼は私の額に軽くキスして、厨房へ入っていった。
唇にして欲しい…
なんて考えちゃダメ。
これは、自分への罰だから。
汚い方法を使った自分への罰。
“キスはしない”
これは、私の決めた、私達のルール。
そして、自分自身への罰……